今年の元旦に自治体財政を自治体同士で比較できるアプリをリリースしました。
このアプリの作成背景と使い方などについて説明をしようと思います。
アプリの使い方と説明
まずは起動の方法ですが、当ブログのメニューに財政比較メニューを追加しておきました。
ここの財政比較をクリックするとアプリに切り替わります。
もちろん、直接URLを指定して開いてもらってもOKです。
あとは登録されている自治体を開けば、データを参照することが出来ます。
(他の都道府県の分も順次登録するからね)
個別の財政状況の見方
小田原市の画面を例に少し説明します。
2022年時点での小田原市の人口と市議会議員の定数、議員一人で住民何人を受け持っているのか?を指標化しています。
その次は人口と歳入・歳出の推移グラフと財政指標の推移グラフを掲載しています。
もっと下には目的別歳出推移グラフと歳入・歳出構成を円グラフにしています。
これらグラフや表の元データは総務省のサイトで公表されている決算カードと言う表から抽出しています。
決算カードとは何か?
決算カードは、地方自治体がその財務状況や運営実績を分かりやすくまとめた資料です。住民に対して財政状況を透明に説明するためのツールとして使われるものです。決算カードには、自治体の収入、支出、資産、負債、そして財政指標が掲載されており、自治体の財務運営の健全性を判断するための重要な情報源となっています。
中身はこちらです。
これを毎年分追跡してExcelやデータベースに整理するのはかなりキツいので、代わりに私の方でやっておきました。
決算カードの主な構成要素を少し説明しておきます。
- 歳入と歳出:自治体の収入源(税収、補助金など)とその支出内容(公共事業費、人件費など)。
- 財政指標:財政力指数、公債費負担比率、実質収支比率などの指標。
- 資産と負債:自治体が保有する資産と、それに対する負債の状況。
- 人口データや事業実績:財政状況と結びつけて住民サービスの状況を示すデータ。
先ほど掲載した財政指標グラフの説明をして、残りは次回以降にしようと思います。
財政指標の説明
財政力指数とは
財政力指数は、自治体が自主財源でどれだけの収入を確保できるかを示す指標です。具体的には、以下のように計算されます:
- 基準財政収入額:自治体が独自に確保した収入(税収など)。基準財政収入額は、実際の税収などから一定の調整を加えた数値で、自治体の収入力を正確に評価するために用いられます。
- 基準財政需要額:必要な行政サービスを提供するためにかかる経費。これは自治体の人口や面積、産業構造などを基に算定されます。
財政力指数が1.0を超える場合、その自治体は基準財政需要額を自主財源だけで賄えることを意味し、通常は普通交付税を受け取る必要がありません。一方、1.0未満の自治体は国から普通交付税の交付を受けることで収支を補います。
公債費負担比率とは
公債費負担比率は、自治体の財政運営における借金返済の負担度合いを示す指標です。以下の式で計算されます:
- 公債費:自治体が返済する地方債の元金と利子の合計額。
- 標準財政規模:通常の自治体運営に必要な経費の大まかな基準。
公債費負担比率が高い場合、自治体は借金返済に多くの財源を割いていることを意味し、新たな政策や事業への投資が制限される可能性があります。一方、比率が低い場合、財政の柔軟性が高いといえます。
指標が示す自治体運営の健康状態
- 財政力指数:この指標が高い自治体は、自主財源が豊富であり、財政的な自立性が高いと判断されます。逆に低い自治体は、国や他の自治体からの財政支援に依存する傾向があります。
- 公債費負担比率:この指標が低ければ低いほど、自治体は新しい事業やサービスに資源を投じる余裕があるといえます。ただし、公共インフラ整備などに地方債を活用すること自体が必ずしも悪いわけではありません。重要なのは、長期的な負担に耐えうる計画的な運用がなされているかどうかです。
決算カードは、自治体の財政状況を住民に明確に伝えるための重要なツールでして、財政力指数と公債費負担比率は、自治体の財政健全性を評価する上で欠かせない指標です。それぞれが自治体の自立性や借金返済能力を反映しています。これらの指標を理解し活用することで、住民は自治体の運営状況をより深く把握し、建設的な意見交換や政策提案を行うことができるようになります。